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「…あ‥あ…」
その光景をただ観ていたロゼは、ひどく動揺していた。
「ヌシのおかげで、労せずに捕らえられたわ。」
(…私の…所為?)
「…………っ!」
かすれた声に、ロゼは黒い衣の人物を見ると息をのんだ。
顔を覆っていた黒い衣が風に揺らめき、その顔を僅かに覗かせていた。
人間じゃなかった。
髑髏(しゃれこうべ)
人の頭蓋骨がそこに有った。
皮膚も肉もない。
耳は無く、口は歯が剥き出しになり、黒い煙を吐き出し、眼には瞳の代わりにどす黒い光が有った。
「ヌシがあの童の注意を逸らしてくれたおかげだ。
結界も破れたしの。」
「っ!」
「ロゼに触れるな!!」
ロゼへと骸骨が腕を伸ばすとジークの気炎の声が辺りに響いた。
ジークは人間二人分の重さを振り払うと、全力で走り出した。
ハルバードの射程に入るとジークは躊躇う事なく、刃を振るった
「おっと」
骸骨は焦った様子もなく、アッサリと避けると距離をとっていた。
「ロゼ、退くよ!」
「え!?
でも!」
「黙って!」
「っ!」
ロゼの言葉は、慌てた様子のジークに二の句を言わせなかった。
「転移『ライドー』!」
ジークはロゼを抱き締めると、カードを発動させその場から退避した。
「逃げたか、まあ良い。
どうせあのキズでは助かるまい。」
骸骨は言葉と共に夜の闇の中へと歩いて行った。
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