第一章 異世界

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「…やっぱ俺は、この世界に迷い込んだみたいッス」 「しかし、普通は異世界からの召喚魔法なんて存在しないはずなんですが…」 「無いんスか?」 「ええ」 どうやら大樹は、何かしらの外的要因にてこの世界に迷い込んだらしい。それがこの世界の魔法なのか、それともこの世界特有の次元断層でも発生したのか、詳しいことはまだわからないそうだ。 そしてこの世界にも電力というものは存在するが、雷撃魔法で使用するくらいで、それを生活に役立てるという事は知らないようだ。 つまり完全に家電製品は使用不可。もし存在したとしてもプラグを差し込むコンセントがないため、電力補給が出来ないためだ。 ちなみに魔法魔法と言っているが、この世界には魔法と一口に言っても多くのものがある。 まず大まかに分けたのが属性魔法。属性には炎・水・雷・風・無がある。属性魔法については、まあ説明する必要はないだろう。炎属性なら炎を、水属性なら水を操る魔法がある。 そして無属性には治癒・転移・改造・浮遊がある。 そしてその改造の中にはさらに身体強化・精神操作がある。 アリサはこれだけの事を語った。そしてこの世界の魔法はいわゆる、体に備わる魔力という物が存在しないそうだ。 ではどうやって発動するのか? 空気中に存在するマナと呼ばれる魔力を使い、炎等に宿らせて使用するらしい。 では「ない」のに「出す」ことは出来るのか? これが出来てしまう。 空気中に存在するマナを使用し、エレメント(自然現象の元)を作り出してから術者の意思により属性を付与し、魔法を発動させるのだ。 その分マナは減少するが、この世界の植物が光合成する際にマナを大量に放出するため、結局はなくなることはないらしい。 「…便利ッスね」 「ええ。でも普通は無詠唱魔法しか使えないんです。無属性魔法には無詠唱魔法が存在しない」 「どういうことですか?」 「簡単な事ですよ。詠唱の際に唱える言葉は、専門の教育機関に行かなければ学べない」 「つまり、高等な魔法を使うためにはそのスペルを知らなければならない、ということッスか?」 「そうなりますね」 「で、そういうことを教える機関もあると?」 「はい」 ちなみに、朝食中の会話である。 「ご馳走様。旨かったッス」 「フフフ、よかった。口に合わなかったらどうしようかと思ったんです」 「いやいや、料理上手ッスね。お袋の味を思い出したッスよ」
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