立石家の風景

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ある朝の立石家の風景。 父は食卓で新聞を読み、母が作る食事を待っていた。 姉は洗面所で顔を洗い、妹はまだ布団の中でうとうとしている。 「キャーーー!!!」 突如、姉の叫び声!!! 妹は飛び起きた。 「だ、誰か早く、鏡を割るものを持ってきてーーー!!!」 家中に響く、姉の叫び声。 「またか………」 つぶやく父。 そう、「また」なのである。 実はこの最近、奇妙な現象があちらこちらで発生し、マスコミを賑わしている。 この「奇妙な現象」、どういう風に奇妙かと言うと… 鏡の前に数分立っていると、突如、鏡の中の景色が勝手に動き出し、科学者の話しによると、早く鏡を割るなどの処置をしないと、鏡の中の世界と外の世界が入れ替わってしまうそうだ。 父はかなづちを握り締め、洗面所へと急いだ。 そこには、慌てふためく姉と母と妹の姿が・・・ 「早く後ろに下がって!!!」 父はかなづちを振り上げた。 「ガッシャーーーン!!!」 飛び散る破片。 見事に鏡は砕け散った。 それにしても、この「奇妙な現象」、いつになったら解明されるのだろう。 世界中の科学者たちが、懸命に調べているらしいが、全く目処がたっていないらしい。 本当に困ったものだ。 父と母は食卓へ戻り、姉と妹は割れた鏡の片付けを始めた。 「それにしても、鏡の中の世界って、どんな世界なんだろうね?」 ふと、妹が姉に聞いてみた。 「どんなんだろうね………」 実際に入れ替わった事例はまだ少なく、一般には公表されていない。 「でも見てみたい気がするなー 『左利きより右利きの人が多い世界』だなんて………どんなになってんだろ………」 「いいから早くかけらを拾って……… 学校に遅れちゃうよ!」 ある朝の立石家の風景。
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