5章:馬鹿にすんなよ!

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「……あんた、ひょとして…… いやいや、そんな事はあり得ない……」 どうしたんだ? 顔色が悪いぜ…… 何やら小さな声で、下を向いたまま、ブツブツ繰り返す。 おいおい! すごい汗だぞ! ホントに大丈夫か……? 「……あんまり聞きたくないんじゃが…」 しばらく床と会話していた爺さんが、やっとこっちを向いて話し始めた。 「……あんたは、どこの国から来たんじゃ?」 どこの国……? 何言ってんだ、このじじい! 「どこの国って……?」 不思議の国から来ました~♪ …とでも、言ってやろうか。 「……国、国じゃよ。日本とかアメリカとか…… 馬鹿な質問だと思うが真剣に答えてくれ。」 ……ったく! この顔が、外国人にでも見えるのかい? 初めてこんな事言われたよ…… ……ふぅ~… 「バリバリの日本人ですけど……!」 ちょっとキレ気味に答える。 「なぁ~にぃぃぃ~! 日本だってぇ~!?」 ビックリしたぁ~!!! さっきよりさらにデカイ声。 おい! じじい! いい加減にしないと、本気で怒るぞ! 俺のどこが外国人に見えんだよ!!! 何故か相当ショックを受けたらしく、ブツブツ言いながら、部屋中をさまよい始めやがった。 おい! 何か変な物でも食ったんじゃねーか? 動きが変だぞ! 「……あ、あの~…」 ダメだ… まったく聞こえちゃいない。 俺ってそんなに日本人に見えないか…? 確かに、外国人みたいって言われると、ちょっとだけ嬉しいけどな。 でも髪は黒いし、背もそんなに高くないし…… お~い! お~い!ったら…… いい加減、俺を1人にするのは止めてくれないか? 「落ち着いて下さい!」 しょうがないんで、爺さんの両腕を握り締め、動きを止めた。 いつまで部屋をグルグル回ってんだよ! お前は、ハム太郎か……?
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