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「……あんた、ひょとして…… いやいや、そんな事はあり得ない……」
どうしたんだ?
顔色が悪いぜ……
何やら小さな声で、下を向いたまま、ブツブツ繰り返す。
おいおい! すごい汗だぞ!
ホントに大丈夫か……?
「……あんまり聞きたくないんじゃが…」
しばらく床と会話していた爺さんが、やっとこっちを向いて話し始めた。
「……あんたは、どこの国から来たんじゃ?」
どこの国……?
何言ってんだ、このじじい!
「どこの国って……?」
不思議の国から来ました~♪ …とでも、言ってやろうか。
「……国、国じゃよ。日本とかアメリカとか…… 馬鹿な質問だと思うが真剣に答えてくれ。」
……ったく!
この顔が、外国人にでも見えるのかい?
初めてこんな事言われたよ……
……ふぅ~…
「バリバリの日本人ですけど……!」
ちょっとキレ気味に答える。
「なぁ~にぃぃぃ~! 日本だってぇ~!?」
ビックリしたぁ~!!!
さっきよりさらにデカイ声。
おい! じじい!
いい加減にしないと、本気で怒るぞ!
俺のどこが外国人に見えんだよ!!!
何故か相当ショックを受けたらしく、ブツブツ言いながら、部屋中をさまよい始めやがった。
おい!
何か変な物でも食ったんじゃねーか?
動きが変だぞ!
「……あ、あの~…」
ダメだ…
まったく聞こえちゃいない。
俺ってそんなに日本人に見えないか…?
確かに、外国人みたいって言われると、ちょっとだけ嬉しいけどな。
でも髪は黒いし、背もそんなに高くないし……
お~い!
お~い!ったら……
いい加減、俺を1人にするのは止めてくれないか?
「落ち着いて下さい!」
しょうがないんで、爺さんの両腕を握り締め、動きを止めた。
いつまで部屋をグルグル回ってんだよ!
お前は、ハム太郎か……?
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