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5章:馬鹿にすんなよ!
……く、臭い。
そりゃマンホールの中だもんな……
暗い地下道を、爺さんの背中を頼りに付いて行く。
幸い爺さんの服が白なんで、わかりやすい。
2人の足音しかしない、真っ暗な空間……
なんか気持ち悪い。
「……あ、あの~……」
恐る恐る声をかけてみる。
「もうすぐ着くから……」
何とか臭いには慣れたんだけど、余りにも気味が悪過ぎる。
大体、お前は誰なんだよ…?
俺を助けてくれたのはわかるけど、何で白衣の爺さんが銃を持ってんだ?
しかも、マンホールの中って……?
「さあ着いたぞ!」
着いたって言われても、相変わらずの真っ暗な地下道……
よく見ると、壁にちっちゃな扉が1つ……
爺さんがロッカーみたいな扉を開ける。
なんだぁ~!
ここは……???
明るい…
明る過ぎる……
照明の明かりが目をさす。
さっきまで暗闇にいたせいで、余計にも思っちまう。
それよりも、なんだこの部屋……?
理科の実験室……
いや、まるでちっちゃな研究室みたいだ。
「いつまでも、そこに立ってないで、こっちに座ったらどうじゃ?」
キョロキョロしながら、部屋の真ん中にある、大きな机のそばの椅子に座る。
「……さっきは大変じゃったのう」
「……は? ……あ、はい…」
落ち着け、落ち着け……
……って、落ち着いてる状況じゃね~だろ!
「でもなんでお嬢さんは、ブラックスーツたちに追われてたんじゃ?」
また出たよ……
ブラックスーツ……
「……それって、ひょっとしてさっきの黒い2人組の事…?」
「2人組…? ああ、そのブラックスーツたちの事じゃよ」
あの2人、ブラックスーツって名前なのか……
それって、コンビ名なのか、それともユニット……
最近テレビとか見てないんで、わかんないぞ……
「レッドカードを持って無かったのかい?」
レッドカード……
確かあのコンビも言ってたな。
なんだよそれ?
「……あの~… さっきのコンビにも言われたんですけど、そのレッドカードって何なんですか?」
「な、なにぃーーー!!!」
突然大声を出す爺さん。
あれ? 俺、何か変な事言ったか……?
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