5章:馬鹿にすんなよ!

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「はぁはぁ……」 爺さん、いい加減にしないと心臓が止まっちまうぞ。 「……わ、悪かった… 取り乱して……」 「とにかく落ち着いて下さい! 意味がさっぱりわからないんですけど……?」 「……はぁはぁ…… あまりにもショックじゃったもんで……」 はぁ~? 何で俺が日本人なのがショックなんだよ? 「……そんなに日本人に見えませんか?」 「ち、違う違う…… その事じゃないんじゃ……」 ????? 「わしの言ってるのは、あんたがどこから来たかって言うのが問題なんじゃ……」 ……??? さらに意味不明…… アメリカ帰りの帰国子女にでも見えるのか…? 「さっきも言ったけど、私、バリバリの日本人なんですけど… 英語なんてまったく喋れないし……」 「……だから違うんじゃ。わしの言ってるのは、あんたが日本から来たって言うのが問題なんであって……」 このじじい、ボケてんのか! いい加減腹が立ってきた! 「何度も言いますけど、私は日本人で日本に住んでいて……」 「……ちょ! 落ち着いてくれ! 何で怒ってるんじゃ?」 あったり前だろ~が! 訳のわからない事を、何回もグチグチ言いやがって…… 「そりゃ、誰だって怒るだろ…… いや、怒るでしょう? 何回も何回も同じ事を言いやがって……」 ヤバい! キレそうだ…… 「ちょっと待ってくれ! 今からちゃんと説明するから……」 「説明…? 何の説明なんですか!」 「……落ち着いて聞いてもらいたいんじゃが…」 落ち着けだと? てめ~が怒らせてんだろ~が! 「もう一回確認するが、あんたは確かに日本から来たんじゃな?」 「だから、俺… いや、私が日本人だったら何か問題……」 「だから落ち着いて聞くんじゃ! 日本なんじゃな?」 目を見開いて、大きな声で聞いてくる爺さんに、ちょっと圧倒されちまう。 な、何でそんな顔で聞いてくるんだ…? 「……ああ、間違いないよ」
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