6章:どうすりゃいいんだ?

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ピンポーン… ピンポーン… …………… おかしい…… 部屋の電気は付いてるのに…… 「母ちゃん、開けてくれよ! 俺だよ! 奈々子だよ!」 何で誰も返事をしてくれない…??? こっそり裏口に回って、台所を覗き込む。 あっ! 母ちゃんだ! どこかに電話をしている。 だから出てこれなかったのか…… ちょっと安心。 「……こちら0079地区の認識番号HFA783、捜索中の者らしき人物が現在こちらに……」 ???!!! 「母ちゃん……何し…てんだ……?」 「キャーーー!!!」 母ちゃんの悲鳴…… 「い、い、今、家の中に入って来て……」 なんでそんなに怯えてるんだ…… 「……い、嫌ぁー!!! 来ないでぇーーー!!!」 「……か、母ちゃん…… 俺だよ、奈々子だよ……」 頼むから逃げないでくれ。 母ちゃん、いつものギャグだろ? なあ! 頼むからギャグと言ってくれ! そうでないと、この状況に押し潰されちまいそうだ…… 「それ以上来たら刺すわよ!」 台所の包丁をこちらに向ける母ちゃん。 ………!!!! もう頭がおかしくなりそうだ。 「……か、母ちゃん! 何してんだよ!」 「そこを動くんじゃないわよ!」 じりじりと電話に近づく。 「一歩でも動いたら刺すからね!」 母ちゃん、母ちゃんったら…… どうしちまったんだよ…… 母ちゃん…… ちきしょう…… ドカッ!!! 「ぐはっ!」 その場に倒れ込む母ちゃん……… 母ちゃん…… 痛いだろ? ごめん…… 許してくれ…… こうするしかないんだ…… 泣きながら、家を飛び出した。
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