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「さっきから黙って見てりゃ、グズグズしやがって…」
「……な、何で怒ってるんじゃ…?」
「……ぼ、僕がいけないんですかね…?」
「……いけないって言うか…」
はぁ~…
俺、何熱くなってんだろ……
考えてみりゃ、俺と大野の為に一生懸命やってくれてんだよな……
「……悪い悪い… 大きな声出してごめんな…」
俺の方がガキみたいだったよ……
う~……
気まずい雰囲気……
何とか空気を変えないと……
「あ、そうそう…、トミー、お前そろそろ、その暑そうな黒い服を脱いでもいいんじゃねーか?」
さっきから気になってたんだよな。
なんか、ブラックスーツがずっと横にいるような気がして……
「そうじゃのう。トミー、ちょっと着替えてこんか?」
「……それもそうですね。じゃあちょっと待ってて下さいね。あ、博士! 勝手に描いちゃダメですよ!」
「大丈夫… ちゃんと待っててやるから…」
「絶対、絶対ですよ!」
そう言うと、トミーは奥の部屋に着替えに行った。
「……あいつ、ホントに優等生なのかよ?」
「まあ、ちょっと抜けてる所はあるが、真面目さにかけては天下一品じゃ…」
抜けてるって…
爺さんも、似たようなもんだけどな。
「…ちょっと聞きたいんだけど、トミーの奴、なんであんなに力が強いんだ?」
「…強いって?」
「初めて会った時、トミーに羽交い締めにされたんだけど、あんな馬鹿力は初めてだよ…」
「ふっふっふ… じゃあ、トミーの体を見たらもっと驚くぞ…」
「……からだ?」
「あいつは顔は童顔じゃが、体はムキムキのボディービルダーじゃからな…」
「…ムキムキ???」
「あいつには哀しい過去があってな……」
何だよ…?
哀しい過去って……
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