11章:悪い予感

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「ちょ…ちょっと待って! 大野くん… 大野くんを解放して!」 思わず声が大きくなる。 「ほほぉ~う… このギャーギャーうるさい男の子は、そんな名前なのか… よかろう、その男の子も一緒に連れて行け!」 カチッ ウィーン…… ブラックスーツが壁のボタンを押すと、俺たちと大野の間にあった透明な壁が上がった。 「なーなーこさぁぁん! なんで来ちゃたんですかー!」 叫ぶ大野。 な…なんだよ! お前、助けてくれって叫んでたじゃねえかよ。 「大野くん… 何言ってるの?あなたが大声で呼ぶから……」 「ぼく、呼んでなんかないですよぉぉ! 外にななこさんの声が聞こえたから、来ちゃダメだ…罠だって、ずっと叫んでいたんですからぁ……」 「何だって……?」 「お前たちが言ってるのは、このことかな…?」 バシコが何かのスイッチを入れると、あの声が聞こえてきた。 「助けてくださぁぁい! ぼくはここにいますぅぅ……」 「あれ…? ぼくの声……?」 「これはその男の子の声から作った合成音声… つまりお前たちを捕まえるためのエサだよ。」 なんだよそれ… 完全に打ちのめされちまった… 「よしっ! 3人を連れて行けー!」 こうして俺と大野と爺さんは、とらわれの身になっちまった。
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