12章:ムーンライト

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「……なーるほど! だからぼくたちは、ここにいる訳なんですね!」 数時間の説明で、やっと理解してくれた。 ちょっとお疲れモードの俺と爺さん。 まあ理解出来ないのが当たり前だよな。 俺だって爺さんに言われた時に、最初は怒ったんだから… ん? だから一度、外に出して現実を見せたのか… 説明だけじゃ、絶対に信じられないもの。 そう考えると、この爺さん、すげーな。 トミーじゃないけど、この爺さんの良さが、だんだんわかってきた。 「で… これからどうするんですか…?」 一気に現実に戻される。 そうだよ。俺たちは捕まってんだよ。 「それじゃがな… こうなったら、わしがマシンを作るしかないと思うんじゃ……」 「ダ…ダメですよ! 博士! そんなことしたら3次元が……」 「もちろん、マシンは作りはせん。だから……」 爺さんの説明は、とにかく俺と大野をここから出すと言うもの。 マシンを作るから、代わりにこの関係ない2人は逃がしてくれ。 ここから出た2人は例の爆弾を持ってブランコへ。 そして3次元に戻ったらディメンジョンマシンを破壊する。 「ちょっ… それって、博士が3次元に戻れなくなる……」 「いいんじゃよ… そもそも、あんなマシンを作ってしまったわしが悪いんじゃから……」 「でも… でも……」 「ななこさんの気持ちはわかるけど、とりあえずどうにかしないといけない訳で……」 「大野くん……」 「ぼくは博士の思いがわかりますよ。それしか方法がないならやるしかないと思うし……」 「そうじゃ… 暗闇の中でずっと待ってても何も変わらんからのう… 少しでも明かりが差し込むなら、そちらの方に進まないと……」 「でも… でもさ……」 本当にそれしかないのかよ… それしか光が見えないのかよ…… 「それに逃がしてもらうって言ったって、そう簡単に逃がしてくれる訳……」 「おーい! バシコー! おーい……」 ダメだ爺さん… 立ち上がって扉の前で大声で叫び始めちまった。 おい! いいのかよ! 本当にそれでいいのかよ! なんでちゃんと考えないで行動しちゃうんだよ! 「ななこさん、大丈夫ですよ。ここは博士に任せましょう!」 「えっ……?」 「大丈夫です。ぼくがいますから…」 大野に肩を押さえられ、じっと見つめられる。 なんでそんな顔で俺を見るんだよ… 大野の優しい瞳。 なんだこの安心感… いつもの大野じゃない。 なんで心が落ち着いていくんだ…? しばらくするとバシコが現れ、俺と大野は爺さんの提案により、外に出られることになった。
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