13章:選択

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「……な、なんですか? ここは…?」 そうか、大野は初めてだよな。 「ここが博士の隠れ家よ。」 「あっ! 牢獄で話してくれた…」 そんなことより… 「な、ななこさん、さっきから何をしてんですか?」 部屋中を探しまくる。 いない… ここにもいない… 僅かな希望だったけど… やっぱりいねーのかよ…… トミー…… 「はぁ……」 一気に襲ってくる絶望感。 体中の力が抜ける。 「な、ななこさん、どうしたんですか? なんか急に元気がなくなって…」 「あのね… 2人しかいないのよ…」 「2人…?」 「私と大野くんしか、いなくなっちゃったのよ…」 「はい! ぼくはここにいますね♪」 満面の笑みの大野。 いやいや、そうじゃなくって… どうすんだよ… どうしたらいいんだよ… 「あの~うぅぅ… ななこさん…?」 「……どうすんのよ! これからどうしたらいいのよ!」 「ちょ…ななこさん、落ち着いて…」 落ち着けったって、落ち着ける訳ねーだろ! 「と、とにかく深呼吸しましょ! ほら一緒に… スゥ~……」 何言ってんだよ… 「ほらほら、こうやって両手を広げて…」 大野に腕を捕まれ、強引に動かされる。 「はい! スゥ~… ハァ~…」 「……スゥ~… ハァ~…」 「そうそう… はい! もう一度…」 あれ…? なんだか落ち着いてきた。 「落ち着きました…かね?」 「あ…あぁ……」 取り乱してごめん。 でも… でも… なんか気を張らないと、押し潰されちまいそうで… ゆっくりとした口調で、大野が話し出した。 「うまく言えないんですけど…  しょうがないってこと… あると思うんですよね…」 「……しょうがないこと…?」 「そう… しょうがないってこと。どうしても避けられないことってあると思うんですよ」 避けられない…… 「避けられないことは、いつまでもどうやって避けようかって考えるより、避けられないなら、どうするべきかを考えないといけない訳で…」 確かに今の状況は、避けられない… 「今からぼくたちが考えなくちゃいけないのは、どうすれば一番いいのかってことで…」 「だからそれが分からないから悩んでるんじゃないのよ!」 「違います。やることは決まってるんですよ。どれをやればいいのかわからないだけなんです…」 決まってる…?
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