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「……な、なんですか? ここは…?」
そうか、大野は初めてだよな。
「ここが博士の隠れ家よ。」
「あっ! 牢獄で話してくれた…」
そんなことより…
「な、ななこさん、さっきから何をしてんですか?」
部屋中を探しまくる。
いない… ここにもいない…
僅かな希望だったけど…
やっぱりいねーのかよ……
トミー……
「はぁ……」
一気に襲ってくる絶望感。
体中の力が抜ける。
「な、ななこさん、どうしたんですか? なんか急に元気がなくなって…」
「あのね… 2人しかいないのよ…」
「2人…?」
「私と大野くんしか、いなくなっちゃったのよ…」
「はい! ぼくはここにいますね♪」
満面の笑みの大野。
いやいや、そうじゃなくって…
どうすんだよ…
どうしたらいいんだよ…
「あの~うぅぅ… ななこさん…?」
「……どうすんのよ! これからどうしたらいいのよ!」
「ちょ…ななこさん、落ち着いて…」
落ち着けったって、落ち着ける訳ねーだろ!
「と、とにかく深呼吸しましょ! ほら一緒に… スゥ~……」
何言ってんだよ…
「ほらほら、こうやって両手を広げて…」
大野に腕を捕まれ、強引に動かされる。
「はい! スゥ~… ハァ~…」
「……スゥ~… ハァ~…」
「そうそう… はい! もう一度…」
あれ…? なんだか落ち着いてきた。
「落ち着きました…かね?」
「あ…あぁ……」
取り乱してごめん。
でも… でも…
なんか気を張らないと、押し潰されちまいそうで…
ゆっくりとした口調で、大野が話し出した。
「うまく言えないんですけど… しょうがないってこと… あると思うんですよね…」
「……しょうがないこと…?」
「そう… しょうがないってこと。どうしても避けられないことってあると思うんですよ」
避けられない……
「避けられないことは、いつまでもどうやって避けようかって考えるより、避けられないなら、どうするべきかを考えないといけない訳で…」
確かに今の状況は、避けられない…
「今からぼくたちが考えなくちゃいけないのは、どうすれば一番いいのかってことで…」
「だからそれが分からないから悩んでるんじゃないのよ!」
「違います。やることは決まってるんですよ。どれをやればいいのかわからないだけなんです…」
決まってる…?
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