3章:もう1人の自分

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3章:もう1人の自分

……ここはどこだろう。 霧に包まれた空間を、色んな色の光が通り過ぎて行く。 どこまで落ちて行くんだろ…… なんだか暖かい…… 包み込まれているみたい。 ……うん。 …悪くない。 この感覚、なんか覚えてんだよなぁ~… 何だったっけ……? え~と…… あっ! 思い出した! 母ちゃんのお腹の中だ!!! えっ! ちょっと待て! どうしてそんな事、覚えてんだ…? 産まれる前の事だぞ! でも、この感覚…… 間違いなく、母ちゃんのお腹の中だ…… どうしてだろう…… わからない…… どこからか声がする。 「奈々子、産まれる前のお前は、今のようになる事を望んでたか?」 ……なんで俺の声がするんだ? 「ホントは普通の女の子になりたかったんじゃないのか?」 うるせー!!! うるせーったらうるせーよ!!! 今の俺が俺なんだよ! 俺が納得してんだから、いいんだよ! 「嘘つけよ。」 なんだと!この野郎! お前に俺の何がわかるってんだ!!!
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