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子供のころ
熱でうなされた夜は
必ず怖い夢をみていた
広い真っ白な
果てしなく白い部屋
そこで立ちすくんでいると
部屋一面を覆い尽くすほどの大きなボールが転がってくる
潰される
目をギュッと閉じた瞬間
私は大きなボールの上
空気が抜けた風船のようなその感は楽しくもあり怖くもある
でもやっぱり恐怖の方が勝っていて
降りたい
自分の部屋に戻りたいとひきつった心で願う
それでも現実の世界には
柔らかな自室のベッドの上にはどうしても戻れなくて
潰される恐怖と広すぎる白い空間への恐れに涙をながすしかない
子供の時以来しばらく見なかった夢を
熱でうなされた夜に久しぶりにみた
あのまま大きなボールに潰されてしまってずっと目覚めなければよかったのにな
そう考えた私は
もうすでに生きることを諦めてしまっているのかもしれない
子供の頃からの変わらない夢
いつか私を向こう側へ連れていってくれることを
大人になった私は願っている
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