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ビーナス様!!といって玄関先に立っていたニッチというらしいその子供(まぁ俺が言えるほど年は変わらないと思うけど…)は、俺に気づいたらしい
「あの方が御子息様でございますかっ?」
「あ、そうよ!優燈、いらっしゃい」
「あ、うん」
母さんに促されるまま玄関へ行くと、ニッチさん(仮)の目が見開かれた
「あらニッチ?惚れちゃだめよ?この子には…」
「惚れ…っ!?そんな恐れ多いっ!ニッチは、ニッチはっ」
涙目になりながら言う彼女はちょっと(てかかなり?)可愛いと思った。
「立ち話もなんだから、そろそろ行きましょうか」
「準備万端でございますっ」
ニッチさんはドンっと拳で自分の胸を叩いた。
…あ、むせた。
「優燈、準備はいい?」
「俺はいいけど」
今更この人誰ですか、なんて聞けるわけもなく。
するとニッチさんはくるりと俺の方に目線を向けた
「ユーヒ様、わたくし、ニコラス=フランペルージと申します!ビーナス様からはニッチと呼ばれておりますゆえ、ぜひともニッチとお呼びくださいな!」
「よろしく。俺のことも優燈でいいよ。様とか堅苦しいの苦手なんだ」
「そそそそっ、そんな恐れ多いっ!」
「あらぁ、いいじゃないの。優燈もそう言ってるしぃ」
「でもでもっ、次期神様候補のお方を、そんな軽々しくお呼びするなんフゴっ!?」
ものっそい勢いで母さんがニッチの口をふさぐ。
つかさ…
いま、ニッチはなんつった…?
次期…神様、候補ぉぉおおっ!?
「母さん!?どういうことだよ!?」
「さー、さっさと行きましょー」
「ちょ、待てよ!!」
「ネタが古いですわ、ユーヒ様」
「…っ、俺、負けない…っ」
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