ある探偵

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しかし暑い!なぜ夏のまっただなかでエアコンが壊れるのだ!まったく冗談ではない。 夏のよく晴れた日の探偵事務所の中で私は扇風機の前でアイスをかじりながら暑さと戦っていた。 私の働く探偵事務所は小野田探偵事務所と言う。 小野田という人物は少しマイペースで何を考えているのかわからい。だが探偵としては一流だ。 小野田が奥の部屋から半袖半ズボンに寝癖のついた頭で現れた。 「暑い!暑すぎるよ前田さん!」 「君のその言葉でよけいと暑くなるよ!それになんだ小野田君その格好は、だらしないぞ」 私は小野田よりも5つ年上だ。だから小野田は私を呼ぶ時にさん付けで呼ぶ。 「しかし小野田君。この前は災難だったそうじゃないか?」 「災難?ああ、あの怪盗ファントムが私になりすまして香野探偵をたぶらかした話しかい?」 「そうそう。警察に呼ばれたんだろう?」 「ああ、だが香野探偵が裏でよくやってくれたらしくて、すぐに帰されたよ」 「それならばよかったね」 「それよりも、こう暑いと雪山が恋しくなるね」 「だが雪山にはいい思い出がないだろ小野田君」 「まあ、たしかにそうだ。忌まわしい事件の記憶しかないよ…」
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