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「神原先生、寝ている場合ではありませんよ」
「んあ? ……なんだ、またお前か浅陽」
「学校では名字で呼んでくださいと、何度言ったらわかるんですか」
突然の再会から数日。
僕は戸惑いながらも、なんとか丞と接していた。
本来なら、教師と保健医の接点などほとんどないはずなのだが……。
「水沢さん、体調はどうですか?」
「紫月先生。今日は結構平気です」
ベッドの脇にある机から顔を上げ、僕に微笑む生徒。
水沢加奈(みずさわ かな)。
彼女は心臓に病を抱えていて、この保健室で学校生活の大半を過ごしている。僕の担任するクラスの生徒のため、こうやって1日に何度か様子を見に来ていた。
「神原先生、ちゃんと見ていてもらわないと」
僕が言うと、丞は大きく欠伸をしてタバコに手を伸ばす。
「丞!」
「なーんだよ紫月センセ。学校では名字でしょ」
悪びれた様子もなく、丞の手はタバコから離れ、隣に置いてあったカップに触れた。そして当然のように注がれていたコーヒーを飲む。
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