遠い心

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 そう言いながら、フラフラしている丞。  僕は自分の感情を抑えて肩を貸す。 「水沢さん、体温計を取ってもらえますか?」 「はいっ」  返事をするが早いか、水沢はすぐに体温計を手渡してくれた。 「神原先生、熱を計りましょう」  僕は丞をベッドに寝かせ、体温計を渡す。  丞はよほど体調が悪いのか、いつもの憎まれ口もなく僕の言葉に従う。 「水沢さんは平気ですか?」 「私は平気です。ちょっとトイレに行ってきます」 「わかりました」  水沢が保健室を出ていくと、弱々しい声が聞こえた。 「うー、つれぇ……」  丞は真っ赤な顔に手を当て、苦しそうにしている。 「一体どうしたんですか。いつから体調悪いんです?」 「昨夜……風呂入った後、テレビ観ながらソファーで寝ちまって……」  こういうところは、学生時代と変わらないな。 「まったく。子供みたいですね。しかも保健医が」 「うっせぇ……」  その時、体温計の音が鳴った。 「嘘だろ?」  自分の熱を見て、丞がため息をつく。僕も覗いてみる。 「……39度2分」  想像以上だった。これでは苦しいはずだ。
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