弟1章 輝きを失った芸術家たち

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  その女性も生まれながらにしてひとつの才能を持っていた。     その才能は小さく目立つものではなかったが,確かに人々に感動を与えるものだった。     自分の感動を自分の言葉にできる才能。   人には真似できない言葉の羅列で,たくさんの詩や物語りを書き綴り,それが彼女の誇りだった。       それは女性の自己満足だったが,彼女の世界観に惹かれる者は多くいた。       彼女は幸せだった。 様々なことに感動し,たくさんの物語りを生み出せることが…     しかし,計り知れない感性を持った女性だったが,ある日突然,心に訪れる声が聞えなくなってしまった。     その聞えなくなった声こそ,彼女の言葉を紡ぐ糸車だった。     女性は失望で虚ろな表情のまま,突然その姿を消した。  
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