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ある村に,類いまれなる色彩の才能を持つ男がいた。
彼の描く想像の世界はまるで,本物のように生き生きと,命を持って輝き,彼の目が捉えて写し出した世界もまた,同じように輝いていた。
彼は真っ白なキャンバスに様々な色を置いて飾ることが大好きで,ひたすら絵と向き合って生きる幸せな日々。
そんな彼の姿は,彼が描く世界よりも眩しく煌めいていた。
愛らしい子犬を思わせる無垢な瞳は,純粋で優しい。そんな彼を周りの人々はいつもあたたかく見守っていた。
彼もそんな優しい村の人たちが大好きで,かげがえのない宝物だった。
しかしある日,彼の筆の動きが止まってしまった。
どんなに美しい絵を書き上げても,今までのような輝きがなく無表情。
彼は酷く落胆し,描きかけの絵を目茶苦茶にしてその村を去った。
使い込んだ絵筆と絵の具を連れて…
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