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「長官、なんか厳しそうな人だったね」
エリックは頬をポリポリと掻き、ハクに同意を求めていた。
「そうですね。でもそれは国を想うが故だと思います。長官のなみなみならぬ責任感に触れた気がします」
ハクは嬉しそうに頷いていた。
「ふーん。そうかなあ……」
エリックはつまらなそうな顔をしたまま、先程退室したばかりの扉に向かってゆっくりと近づいていった。
そして、扉の前に立ったエリックがにやにやと笑い口を開いた。
「二人が何話してるか気にならない?」
ハクはぽかんと口を開けていた。
あまりのアホ発言に呆れていたからだ。
「いや、やめたほうが良いと思いますよ……」
「大丈夫、だいじょーぶ」
一応忠告したが、エリックは聞く耳を持たない。
彼はゆっくりと顔を扉に向かって近付けていった。
「あぐっ……!」
お約束の展開が待っていた。
突然開いた扉がエリックの顔を強打し、その衝撃で彼は後ろに吹っ飛んでいた。
「いった……!」
顔面を押さえて転がり回るエリックを、ハクは哀れんだ目で追っていた。
「何やってんのあんた」
エリックを不機嫌そうに見下ろしたアマテラスが扉の前に仁王立ちしていた。
「なんでもひゃいです」
顔をしかめながら立ち上がったエリックの顔面から鼻血が出ていた。
「ふん、まあ良いわ。行くわよ。ついてきなさい」
エリックを一瞥し、アマテラスはすたすたと廊下を歩いていく。
「……はい」
エリックはふてくされたような顔でアマテラスの後ろを歩いていく。
ハクはくすくすと笑いながら、その後を追っていた。
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