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まだまだ就寝時間まで時間はある。
エリックたちは談話室へと移動していた。
「やりかねない雰囲気はあったけど、まさか手を出すとはねえ。予想外だったわ」
アマテラスはテーブルの上に置いてあったビスケットに手を伸ばし、ハクとエリックを交互に見た。
ハクは不機嫌そうに、エリックは少し落ち込んだ様子で椅子に座っている。
「まあ、ボコボコにされたからって気にしなくても良いと思うわよ? ソフィーは強いから。嫌なオバサンだけど」
あら……これ美味しい、と呟くアマテラスは二人の少年を観察するように見ていた。
「あの、ソフィーさんはどれくらいの“力”を持っているのですか?」
不機嫌な様子ををあらわにしたまま、ハクは質問していた。
「あら、それを聞くわけ?」
アマテラスは、馬鹿にするようにクスクスと笑う。
「そうね。一級直属軍の中では最上位クラス。トップ10には入るはずよ」
アマテラスによると、ソフィーの強さはハクの予想を超えたものらしい。
それを信じることが出来ないハクは眉をひそめる。
「お言葉ですが、ソフィーさんの魔法力は一級直属軍レベルならば普通だと思いますし、剣術も並クラスだと思います。それなのにトップ10ですか?」
ハクの疑問はもっともだ。
“力”に優れていない者が“強さ”を持っていることに、ハクは純粋に疑問を感じていた。
アマテラスはにやりと笑い人差し指を立てた。
「君ならそういう風に疑問を持つと思った」
馬鹿にしたように笑った後、彼女はエリックに顔を向ける。
「エリック君は分かるでしょ? ソフィーが強い理由」
エリックは下を向いていたのだが、呼び掛けられてからゆっくりと顔を持ち上げた。
「ソフィーさんが強い理由ですか? やっぱりテクニックだと思います」
目の周りを真っ赤にし、ふらふらと頼りない様子で椅子に座っているエリックだが、話は聞いていたようだ。
エリックはソフィーの強さの理由をテクニックによるものだと考えていた。
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