19人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
白い壁の住宅――
周りの家とは圧倒的に違う。それは、家の大きさ然り、家の質然り。
明らかに金持ちが住まうような豪華な城のような家。まるで屋敷だ。
達夫の家である。
「つつつつついたよ」
「はい……え……」
高島恵はとても驚きました。と言わんばかりの顔をしている。
だが、達夫が怖いからか何も言う事はしなかった。
二人は達夫の身の丈の2倍はあるだろう大きな門をくぐり広い庭に入った。
同時に、高島恵の緊張感も上がっていった。首筋を冷や汗が伝う。
逃げようと思えば逃げられるのに。彼は油断していないが、手もつながっていないので一目散に走れば逃げられるのに。
だが何故か、彼女の足は動こうとしなかった。
庭の木々が冷たい風に吹かれ寂しげに揺れた。
最初のコメントを投稿しよう!