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走るのは嫌い。
だって髪が乱れる、服が乱れる、
疲れることなんてしたくない。
走ること自体、必死にやること?
むしろ必死なんてみっともない。
汗だってかきたくない。
みんなそうでしょう?
女の子は可愛く大人しくなくってどうするの。
それにみんながそうだから、あたしもそうしないと、怖いじゃない。
独りだなんて怖いじゃない。
だから私は、走るのは嫌い、
だった。
だけれど、あの子は走れない。
走れないあの子を思うと、私は走らずにはいられない。
自分の足を、誇らずにいられない。
今日、走れもしないくせに、たった独りでとおくにいってしまうかもしれないあの子を思うと、走らずには。
どんなに不恰好でも、あの子を想わずには、いられない。
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