本格始動

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昼食をとってからまた仕事に戻る。 基本的に残業はないので定時に終わる。 今日もそうだった。 特に用事はなかったので夕食の材料を買って帰る。 夕食は毎日自分で作って食べる。 外食は出来るだけしない。 その後は特に趣味もないので早く寝る。 いつもこんな感じだった。   いつの間にか街の中に居た。 周りに木々が繁り、噴水が真ん中にある広場のような場所だ。 今は煙に包まれており視界が悪い。 どうなっているのかがさっぱり分からない。 辺りを見回しながら歩き出す。 探り探り歩いて行くと何かにつまづいて転んだ。   急いで起き上がると自分の部屋だった。 しばらくすると夢だったことに気付いたが、息苦しさは残ったままだった。 なんとか立ち上がると洗面所に向かう。 鏡に映った顔は疲れているように見えた。   準備を済ませると、自転車で職場へ向かう。 いつもよりも足が重く感じる。   職場に着いたころには、特にいつもと変わらない状態になっていた。 息は少し切れてはいたのだが、これもいつものことだ。   いつも通りにラジオ体操を済ませる。 その後にいつも通りに朝礼があるはずだった。 それが今日は違っていた。  いつもは匣鈴菜が前に出て、気の抜けるくらい陽気に必要事項を伝えている。 それが深刻で悪いことであってもだ。 しかし、今日はそこから違っていた。     「今日は本社の方がいらっしゃっているのよ。で、その方から話があるからみんなよく聞くよーに。」     そう言って匣鈴菜は後ろに下がった。 入れ替わりでスーツ姿の壮年くらいの男が、前に出てきて咳払いをした。     「今日は全員本社に来てもらう。そこで極めて重要な仕事をすることとなるため、気を引き締めて臨んでくれ。」
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