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電話するとすんなりと面接まで決まった。
詳しく訊いてみると、時給は実力次第で上がる様で、正社員になることもある様だ。
それは、素晴らしい条件でますます逃すわけにはいかない。
気合いを入れて面接へ向かう。
着いた場所は小さめの事務所。
そんなに仕事がある様には見えなかった。
とりあえずドアを開けて入る。
いくつか机と椅子が綺麗に並んでいる。
書類に目を通していた人達が手を止めて、こちらを見る。
「あの、面接を受けに来た者です…」
「あ~、お待ちしてましたよ。こちらへどうぞ。」
そう言うと椅子のひとつを指した。
その椅子に座ると、他の人達は机の向こうに座る。
面接官は3人の様だ。
「では、始めにお名前を。」
「はい。山月健也と言います。」
「ヤマツキ ケンヤさんですね。では、体力に自信はありますか?」
「え?あ、はい。ある程度は大丈夫だと思います。」
「以前はどのような仕事をしていましたか?」
「レジ打ちなどです。」
などの無難な質問が続いたので、無難な答えを返す。
ただ最後に面接官がニッと笑い、妙な質問をしてきた。
「あなたは今の世界をどう思いますか?」
「世界…ですか?…不安だらけです。毎日、生きるので精一杯ですから…」
「では、今の世界に満足していないということですね。」
「満足…はしてないですね。」
「そうですか…。では、面接を終わります。結果は後日お伝えしますので、どうぞお帰りください。」
「はい。ありがとうございました。」
そう言うと、椅子から立ち上がり礼をして、建物の外へ出る。
後は成功を祈るだけだった。
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