運搬開始

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「ここか…」     面接の数日後、健也の下に合格の通知が届いた。 それには、地図と仕事内容も書かれていた。 荷物を運ぶ仕事らしい…   そこには大きな倉庫があった。 敷地内には倉庫の他に、事務所と建物がもうひとつある。   とりあえず、事務所に向かう。 引き戸を開ける。     「すいませーん。」   「はいはい、ちょっと待っててね…」     中から、眼鏡をかけたおばさんが出てきた。 白髪交じりの髪を、後ろで結んでいる。 そして、健也の顔を見ると不思議そうな顔をした。     「どうしました?」   「今日から、こちらで働くことになった山月健也です。よろ…」   「あぁ!新しく入る人ね。じゃあ、これにあそこで着替えて、倉庫に行ってちょうだい!」     すごい勢いで話しながら、倉庫の向こう側を指す。 作業服を受け取り、行ってみるとさっきは気付かなかったが、小さな更衣室があった。   着替えて倉庫に向かった。 倉庫の大半を、機械が占領していた。 隅には、段ボールが積み上げられている。   中を見回していると、肩を叩かれた。     「もしかして…新人さん?」     振り向くと、同じ作業服を着た女性が立っていた。 首を傾げているので、頷いた。     「あっはぁ!やっぱり見ない顔だから、そうだと思ったよぉ!私は匣鈴菜一音(ハコスズナ カズネ)よろしく。」   「よ、よろしくお願いします。」     笑いながら手を差し出されたので、握手をする。 すごい勢いで振られたので、肩が少し痛い。
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