青い冬

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おれの町には、変な奴がいる。 変と普通の境界なんぞ、そんなもんはわからないけれど、 こいつを形容するとき、おれはそれ以外に言いようがない。 「あんた、また風邪ひいてんの?」 「治んねんだよ、風邪菌に愛されちゃって」 「三ヶ月はひいてる計算になっけど」 「だから愛されてんだっての」 「嬉し?風邪菌に愛されちゃって」 「あんまし」 火曜、夕方四時。 この時刻になると、こいつは河川敷に現れる。 いつも決まって青っぽい服を着用したそいつは、ここでタバコを二本吸うのが習慣らしい。 がりがりに痩せていて、印象に残らないようなのっぺりとした顔をしている。 タバコはマイルドセブン。 ………吸い方に若さを感じねえ。
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