1.ヒロイン登場

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1.ヒロイン登場

20XX年元旦の日本。 スタジオでは、復活したスター隠し芸大会が、生放送の真っ最中であった。 ちょうど、『元祖Mr.隠し芸』が、バンジー書初めを成功させたところ。 老体にむち打ちながらも、その技と発想は健在で、視聴者に驚きと感動を与え続けている。 『バンジー書初め』については想像にお任せしよう。 『いやいや、天晴れでございました!。見ている方が寿命が縮まる思いで…。』 緊張の後に、司会者が軽い笑いを誘う。 ~ラブの楽屋~ 『…そんな…まさか…。どうして彼女が………。』 遠い目で鏡を見つめる。 『分かりました。後ほど…。』 唇を噛み締め、ラブは携帯を切った。 沈黙の中、悔しさがこみ上げてくる。 『…ァァアーッ!!』 (ガシャン!) 叫びと共に伸ばした拳に、壁の鏡が砕け散った。 『どうしてなの…ララ…』 頬を涙がつたう。 『大丈夫ですかぁ?そろそろお願いしま~す。』 ノックの後、スタッフが出番を告げる。 目を閉じて、一度だけ大きく深呼吸をして、涙を拭いた。 噛み締めた唇に滲んだ血をティッシュで拭き、ゆっくりと席を立つ。 ~スタジオ~ 『さて、皆さんお待ちかね。今年もオオトリは、彼女!!スーパーアイドル、トーイ・ラブさんで~す!』 スタジオが大きな拍手に包まれる中、スモークの立ち込めるゲートから彼女が登場! 身長160センチ、42キロ。 ショートパンツからスラリと伸びた脚にはプラチナのアンクレット。 ピンクにシルバーとゴールドの☆が入ったヒール。 濃いブラウンのショートヘアーにはスターダストの装飾。 胸はサポーターで押さえ、白いシャツに黒のショートジャケット。 全て有名ブランドスポンサーの提供である。 最も重要なのは、誰もを幸せな気持ちにする優しい顔立ち、そして笑顔。 これが、世界中から愛されるラブのスタイルである。
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