3.アイ

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3.アイ

『ラブ、お疲れの様ですが、間もなく空港へ着きます。』 移動の車の中で僅か30分の仮眠を取った。 『アイ、ボスニア空域の確保はできた?』 『はい。「ピース」が手を回してくれた様です。ですが、現地は内戦の真っ只中です。今回も政府軍の裏には「ヘブン」が関わっているとの情報もあります。』 「ピース」とは、国連の組織であり、世界中で平和活動を展開している。 彼女はこのピースの活動を広く支援しており、中心的な存在でもあった。 「ヘブン」は、世界的な反抗勢力であり、テロ組織や非治安国家へ武器を流していた。 ところで、ラブが話しているのは、彼女をサポートし、世界中を監視するマザーコンピュータの「アイ」である。 アイは彼女の頭脳とも繋がっており、ラブはアイを通じて、あらゆるデータを見ることができた。 『アイ、明日の予定は…』 『8時の取材は来週に延期、首相から相談あった9時のアポも丁重に延期させて頂きました。11時の映画プレミアは欠席でも良いでしょう。鬼島組長との昼食会は大変残念がっておられました。午後の新曲用ジャケット撮影は中止。ディオールの新作打ち合わせには、メイを行かせます。映画『スピードレーサ3』のカーアクションですが、T2(ティーツゥ)に頼みました。』 『メイはディオール好きだからラッキーね。T2にはまたブツブツ言われちゃうな。ティークから連絡は?』 『はい。アラスカで見つかった機体は、この星の物ではない様です。15名の行方不明者がでており、NASAが調査中です。EARTH(アース)から、長官の命で、レベル5の警戒体制を取りました。』 アースは、地球規模の危機に対応すべく、ラブが作り上げた国際的な極秘組織である。 長官のベルベット・スタンリィは、トーイ・ラブの正体を知る数少ない人物の一人である。 T2とティークは、ラブを守り、両腕となって動く最強の戦士。 アイのブレーキランプが点り、目の前にはアメリカ最新鋭機、ステルスの黒い機体があった。
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