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「ありがとうね荷物を持ってきてもらって」
小町は感謝の笑みを浮かべる。
「いえ!こんぐらい出来て当然ですよ!」
負けないぐらい明るく笑みを浮かべる恋螺。
「それよりも、お父さんは何をしてるのかしら」
「あっ!お祖父ちゃんでしたら腰を痛めて神社の階段で休んでます!」
やっぱりと言う顔をする小町。
「そうなの?は~もう!だから腰を痛めるから無理はしない方がいいって言ったのに!」
もの凄く呆れながら小声で。
「全く!私が行くから家で待っててって言ったのに、あのジジイは『昔は漁師だったんだから大丈夫じゃよ!』とか言って行ったのに結局は恋螺ちゃんに荷物持たせてるじゃない!自分の年を考えろよあのジジイ!」
小町さんが怒ってる中恋螺は恐る恐る話をかける。
「あの~小町さん?」
小町、アァ~ンッ?と言う顔で恋螺を睨む!
恋螺はあまりの怖さに固まる!
小町はしばらくして、恋螺の様子に気付く!
しまった!という顔をして小町は普通に戻る。
「あら!あはは!ごめんなさいね!」
小町、とびっきりの笑顔で謝る、恋螺はまだ恐がっているが頑張って言葉を返す。
「いっ!い、いえ!だっ!大丈夫ですよ!」
苦笑いしながら答える恋螺。
「まぁ、お礼と言ってはなんだけど、上がってお茶でも飲んで行ってね」
笑顔で言う小町、本来なら優しく感じるが今回は怒ったばっかりなので、その笑顔が余計に怖い小町。
それでも、恋螺は小町に言葉を返す。
「あっ!はい!それでは一杯だけ頂きます…」
草鞋の紐を解き『改めてお邪魔します』と言って上がり、草鞋を並べておく恋螺。
小町は和室に行き恋螺に『今、お茶を持ってくるから座って待っててね』と言って台所に行く。
部屋には一つの仏壇がある、7年前に亡くなった佐々木のお婆ちゃんの仏壇である。
恋螺はお婆ちゃんにとてもお世話になっていた。
恋螺は4歳の頃に母親を亡くし、それからは父親と2人で暮していた。
その合間に、面倒を見てくれたのが、佐々木のお婆ちゃんである。
「お婆ちゃん…」
『お婆ちゃんはいつも私に前向きでいろんな事を教えてくれた。
ご飯の作り方、洗濯の仕方、井戸水の汲み方。
他にも、綾取り、お手玉、福笑いなどの遊び方を教えてくれた。
時には叱ってくれた。
時には泣いた私を励ましてくれた。
忘れかけた笑顔を思い出させてくれた』
「おばあちゃん……」
涙を浮かべる恋螺。
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