わたりどり

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 嫌いなわけではありません  あなたのことは愛しています  だけどあなたは応えてくれない  それがわたしは、耐えられないのです  波のようにおしよせてはひいてゆき  風のようにわたしのほおをなでてはとおりぬけ  砂のようにゆびのすきまからながれゆくあなた  それがわたしはもどかしくてはがゆくて、切ない  いぜんのあなたは違った  いつもわたしの側にいてくれた  あれは夢だったのでしょうか  今はもう、あなたはどこにもいない  あなたはどこへ行ってしまったの  むかしのあなたはもう帰らないの  あの空をとぶ、わたりどりも  いつかは帰ってくるというのに  あなたはわたしのことが嫌いなのでしょうか  わたしのことが嫌いなのでしょう、きっと  こんな想いはもうしたくない  だから、わたしから離れてあげます  もう会うことはないでしょう  あなたはわたしを探すはず  よせつけないのに離れもしない  わたしはそれが、とても、切ない
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