#01 プロローグ ~森永千代子の場合~

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休日の朝早く、ザクッ、ザクッと地面を掘る音が丘の上から聞こえた。 大きなスコップをしきりに動かし、流れる汗もおかまいなしに桜の木の下を掘り続ける。 「…ハァ…ハァ…」 掘られた穴はだんだんと大きく深くなっていく。 「…チョコ。無理しないで」 桜の木の上から女性の声がした。 「平気だよ。さくら」 地面を掘り続ける。 さくらは心配そうにチョコを見下ろしていた。 それから一時間ほど掘った。 チョコはスコップから手を離し、その場にドサッと腰を下ろした。 「…ハァ…ハァ…」 こんなに掘っても何も出てこないってことは、やっぱりここも違ったかぁ・・・。 「チョコ。大丈夫?」 さくらがふわりと木の上から降りてきた。 「うん。ちょっと疲れた」 チョコは眉尻を下げて笑った。 「ごめんね。チョコ。私のために…」 さくらは本当に申し訳なさそうに言ってうつ向いた。
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