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休日の朝早く、ザクッ、ザクッと地面を掘る音が丘の上から聞こえた。
大きなスコップをしきりに動かし、流れる汗もおかまいなしに桜の木の下を掘り続ける。
「…ハァ…ハァ…」
掘られた穴はだんだんと大きく深くなっていく。
「…チョコ。無理しないで」
桜の木の上から女性の声がした。
「平気だよ。さくら」
地面を掘り続ける。
さくらは心配そうにチョコを見下ろしていた。
それから一時間ほど掘った。
チョコはスコップから手を離し、その場にドサッと腰を下ろした。
「…ハァ…ハァ…」
こんなに掘っても何も出てこないってことは、やっぱりここも違ったかぁ・・・。
「チョコ。大丈夫?」
さくらがふわりと木の上から降りてきた。
「うん。ちょっと疲れた」
チョコは眉尻を下げて笑った。
「ごめんね。チョコ。私のために…」
さくらは本当に申し訳なさそうに言ってうつ向いた。
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