2人が本棚に入れています
本棚に追加
休日の朝早く、図書館行きのバスに乗り込んだ。
バスの中はガランとしていて、休日出勤のサラリーマンと腰の曲がったおばあさん、そして運転手のおじさんしかいなかった。
歩道側の真ん中あたりの席に座り、なんとなく窓の外を眺める。
様々な色や形の建物や街灯なんかが緩く、素早く自分の横を過ぎ去っていく。
ん?
一瞬視界に入ったものに思わず振り向く。
大きめのリュックサックを背負い、大きなスコップを持って走る少女。
なんだ、あれ。
バスのおかげで少女は2秒ほどで視界の外に消えた。
大きなリュックサックは遠足か。
大きなスコップは地面を掘るためか。
幼稚園の頃に行ったいも掘り遠足を思い出した。
いや。待てよ。
こんな時期にいも掘りはないだろう。
季節は雨期の6月。中途半端だ。
それに、いくら地面を掘るからといってスコップは大きすぎる。
シャベルで十分だ。
最初のコメントを投稿しよう!