#02 プロローグ ~明治怜人の場合~

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休日の朝早く、図書館行きのバスに乗り込んだ。 バスの中はガランとしていて、休日出勤のサラリーマンと腰の曲がったおばあさん、そして運転手のおじさんしかいなかった。 歩道側の真ん中あたりの席に座り、なんとなく窓の外を眺める。 様々な色や形の建物や街灯なんかが緩く、素早く自分の横を過ぎ去っていく。 ん? 一瞬視界に入ったものに思わず振り向く。 大きめのリュックサックを背負い、大きなスコップを持って走る少女。 なんだ、あれ。 バスのおかげで少女は2秒ほどで視界の外に消えた。 大きなリュックサックは遠足か。 大きなスコップは地面を掘るためか。 幼稚園の頃に行ったいも掘り遠足を思い出した。 いや。待てよ。 こんな時期にいも掘りはないだろう。 季節は雨期の6月。中途半端だ。 それに、いくら地面を掘るからといってスコップは大きすぎる。 シャベルで十分だ。
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