2人が本棚に入れています
本棚に追加
朝日が昇った。
山の向こうから光が広がって、眩しさに目を細める。
「や~。すがすがしい朝だねー」
チョコはスコップを地面に突き刺し、朝日を拝んだ。
隣には朝の光を受けてキラキラと輝くさくらが、微笑みながら立っていた。
チョコはそんなさくらを見ていると、今にも消えそうな気がしていつも不安だった。
そりゃあ幽霊だから、いつかは天国へ行っちゃうんだろうけどさ。
その手伝いをしているのが自分、チョコだ。
この世に未練があって残っているさくらを成仏させるために、チョコは桜の木の下を掘っている。
さくらの遺体を見つけるために。
「チョコ。そろそろ戻らないと、学校遅刻しちゃうわよ?」
それを聞いてチョコは左腕の腕時計で時間を確認した。
「あ、ヤバッ!じゃあね、さくら。放課後、また来るから!」
チョコは鞄を持って走って丘を下りていった。
チョコの姿が完全に見えなくなると、さくらは桜の中に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!