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チョコとさくらが出会ったのは今から一ヶ月ほど前のことだった。
さくらを初めて見た時、チョコは彼女を妖精かと思った。
腰までの長く綺麗な黒髪。大きな黒い瞳。白く透き通った肌。
桜の木からふわりと現れた彼女を見て、チョコは目を見開いた。
さくらもチョコに自分の姿が見えることに驚き、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。
その日から二人は友達になった。
幽霊と人間。
さくらとチョコは色々な話をした。
学校での出来事や丘に住む動物たちのこと。見たこと、聞いたこと、感じたこと。
最近のこと、昔のこと。
さくらには生前の、死ぬ前の記憶がなかった。
「でもたまに、断片的だけど、昔の記憶みたいなものが頭の中に流れることがあるの」
さくらは言った。
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