1章◆通り抜けたその先は。

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 私は机に頬ずりをしていました。教室中は楽しそうな会話で溢れているのに、私はその輪から外れて、一人で机に頬ずりを繰り返しているのです。  なんだかとっても自分が阿呆な人の気分です。  でも、これは致し方ない。なぜなら、殺人的な太陽の暑さのせいで、私は今にもするめにだってなんだってなれそうなのですから、こうやってちょっとでも顔の体温を下げようと必死なのです。 「終礼を始めるぞー」  教室に入ってきた先生の顔はいつにもまして爽やかで、晴れやかでした。  明日から夏休み。無理もありません。  周囲は高校生にもなったし、バイトを始めようかな、なんて声も聞こえてきます。 「成績表配るから、席つけー! 静かにー!」  そんなクラスメイトの騒ぎ声に混じって、こんな会話が聞こえました。
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