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「その本、面白いわよね」
この言葉こそ、星野先輩から僕への第一声だ。
野球部マネージャーのようなすきっと爽やかサイダー風味の笑みでもなければ、僕のような卑屈な少年の鬱屈した空気を孕んだ笑みでもなかった。
なんとも形容しがたい微笑み。
僕はまず、この「星野流歌」という人間の構成成分が気になってしまった。
先輩は別に、今の今まで、何の苦もなく困難もなく生きてきたわけじゃないと思う。
どちらかと言えば、ツイてない方に分類される17年だったはずだ。
クラスに必ず一人はいる、暗くて誰にも気にすらかけてもらえない孤独を愛するふりの寂しがり屋。
そのタイプにカテゴライズされる人間。
まるで、僕みたいな。
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