帰路

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「でも、伊達君の態度を見ていれば、分かるわ。伊達君が私にどんな気持ちを抱いているかくらいは」 「では、ばれてたんですか。ずっと」 今でこそ、そうでないものの、初めて自分の気持ちと向き合った時は、なかなかの醜態をさらしたものだ。 特に、先輩の前では。 心臓の鼓動が死んでしまうのではないかと思うくらい速まり、一言を発する度に息が詰まりそうになり、何もできなくなるあの感覚。 ずっと、一人の女性について考えている。 心が自分のものじゃなくなったみたいに。 だから『心を奪われる』という表現が空欄にぴったり当て嵌まる。 そういう意味では、僕の友人が言っていた持論『心は脳のことだ』は正解かもしれない。
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