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† † †
永遠に続く夜の闇ほど暗い洞窟に帰ったニコラスを待っていたのは、笑顔の邪神と。
「えっと、主?」
銀の針が盛られたグラスだった。
「だからね、人間は嘘をつくと針千本を飲むんだって。実際にあんな細い喉で吸飲が可能なのか、人に近い身体のお前で実験を……」
吸血鬼は畏まり、恭しく進言する。
「マーラ様。それはあくまで比喩表現であり、実際には不可能かと……」
「そうなの?」
子供の邪神はきょとんと問い返す。
吸血鬼の従者がほっとしたのも束の間。
「まあいいや。やってみなくちゃわからないからね!」
主と人の関わりを喜んだことを、ここに留まるとロゼに宣言したことを、ニコラスは真面目に後悔した。
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