理想

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「先生は十分頑固ですよ。頑固で理想家です。その前理事長との約束を、今でも守っているんですから」 ザードは穏やかに笑いかける。 「信じているんじゃないですか、心のどこかで。だから先生は、この場所に留まっているんじゃないですか。前理事長の理想が、現実になる日を待つために」 ――ああ、俺の半分しか生きてない若造が、痛いところをついてくる 「そうかもしれんなぁ」 ハーヴェイは目を細めた。 ザードは席を立つ。 「危なくなったら俺の名前、出して下さいよ?ボコボコにしてやりますから」 「ははっ、助かるなぁ」 ハーヴェイは一人コーヒーを飲み干すと、深呼吸して立ち上がった。
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