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「ああ、その通りや」
ハーヴェイは平然と頷いた。途端に教室中が蜂の巣をつついた騒ぎになる。
「あなた自身が確証の持てない歴史を、俺たちに教えるんですか?」
ブロンドの青年はしたり顔で糾弾する。
ハーヴェイは俯かず、眼は真っ直ぐに生徒たちを射た。
「我々が実際に体験したわけでない過去のできごとだから、文献と想像に頼るところが多い。時代が遡るにつれ、資料は少なくなるし、意図的に情報操作がされる場合もある。
それでも真実を探究する学問、それが歴史や」
歴史家は多かれ少なかれ理想家だと、ハーヴェイは思う。過去に遡る魔法ができない限り、決して真実に届かない。
されど真実に手を延ばすのをやめれば、真実はますます遠ざかる。
「俺は皆に、求めて求めてやっと辿りついた真実に一番近い答えを、教えたつもりや」
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