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「信者の血を啜り、黒魔術に手を染めたと言われるミトラ教は、決して邪教ではなかったのです」
貴族ばかりの学会の壇上で、ハーヴェイの声は朗々と響いた。
「それどころか、貧しい農民たちの支えになったのです」
ハーヴェイは裕福な商家の次男だった。商才のあった兄とは違い、内気で引きこもりがちだったハーヴェイは、本の世界に没頭した。
歴史学者になりたいと宣言した時、両親は猛反発したが、兄は笑って言った。
「応援してやるから、お前が書いた歴史書をただでくれよ」
結局兄が死ぬまで、歴史書どころか一つの論文も認められなかった。
全て貴族に握り潰された。
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