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「この学校を貴族と平民の掛橋にするのが、僕の夢なんだよ」
自分と同じくらいの歳だというのに、男の浅葱色の目は水の如く澄んでいた。
「だから君には、僕の学校で教鞭をとってほしいんだ」
場所は薄汚れた酒場のカウンター。煙草の煙、すえた匂い。卑猥な笑いが響く中、熱を持った男の声はしっかりと耳に届いた。
あの店の名前は忘れてしまったけれど、その時交わした言葉は、宝石のようにこの胸に輝いている。
「やけどな、オーウェン」
傾けたグラスを眺め、低く呟く。
「平民の俺が貴族に教えるなんて、無理やろ」
初老の男はぐっと身を乗り出す。
「無理なんかじゃないさ!」
「無理や。お前はカウント(伯爵)。だから平民がどう扱われてきたかなんて知らん」
冷淡に言う。
――お前は友として接してくれるが、身分が違うんや
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