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職員室の休憩スペースでコーヒーを啜りながら、ハーヴェイは新聞に目を通していた。
「ハーヴェイ先生」
老眼鏡を外すと、血のようにどす黒い臙脂色の髪の男がいた。
「なんでしょう」
男は丸い顔で、とってつけたような愛想笑いを浮かべた。
「実は今日、ゴートン先生が体調を崩してしまったらしくて」
ゴートンとは、ハーヴェイと歴史の科目を分担している教師である。
「彼の代役として、授業をして頂けませんか?」
「時間とクラスは?」
男は手にしたメモを読み上げる。
「えーと、一限が4-E、三限が2-C、四限は礼法ですから別の先生にお願いするとして、五限は5-Sです」
――5-S?
ハーヴェイは眉を潜める。
――貴族のクラスか
「はい、一、三、五ですね、わかりました。一限は埋まっていますが、後は大丈夫です」
「わかりました。ありがとうございます」
男はちょこんと頭をさげ、貴族側の席に戻って行った。
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