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「まだやるのかよ」
夕日で空が茜色に染まる頃、彼らは都心から少し離れた商店街を歩いていた。
「なぁ、聞いてんのか?」
『……』
後ろを歩く幼さの残る少年は前を歩く『そいつ』に尋ねるのだが『そいつ』は何も反応せず、前だけを見て歩いている。
夕方と言うこともあり人が多くなってきた商店街を少年は、向かいから来る人をよけながら必死に『そいつ』をおう。
人をよけることに必死になっている少年に対し、『そいつ』は難なく歩き続ける
。
『まだいける』
幼い男の子を思わせる声だ。
『そいつ』は一言そういうだけだったのだが。
その後『まだ足りないんだよ』と少年には聞こえないようにつぶやいていた。
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