プロローグ

5/5
前へ
/355ページ
次へ
周りからは、さっきよりも厳しい目で見られていたのだ。 「あれ何してるの?」と子供が裕貴を指さし、隣の母親の裾を引っ張り聞いていた。 「きっと一人芝居の練習よ」と母親は苦笑いをしながら、子供に答えている。 ほかの人もひそひそ話していた。 『俺は普通のやつには見えないって何回言えば分かるんだよ』 『そいつ』は走り出していた。 『そいつ』はいわゆる幽霊というやつなのだ。 つまり裕貴は、周りからは一人で騒いでいる変な人に見られていたのだ。 「待てよ!白(ハク)!」 裕貴は走りながら『そいつ』の名前を呼ぶ。 白は走りながら後ろをみて『バーカ』と言っていた。 またしても、バカにされた裕貴は拳を強く握る。 裕貴は走りながら小言を言って、自分をおさえることにする。 「黒猫のくせに……黒猫のくせに……」
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!

806人が本棚に入れています
本棚に追加