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「…いったい、どうなってる!?」
胸には羽模様がプリントされた薄汚れたジオン軍野戦服を着た軍人が怒鳴り声を上げて部屋に入って来た。
「きおーつけ!!」
部屋の入り口に立っていた憲兵が大きな声で、怒鳴り声を上げて入ってきた薄汚い軍服を着た軍人に対して直立不動の姿勢をとった。
部屋の壁は全て木製で、天井は照明付きのシーリングファンのプロペラがグルグルと廻っているだけのシンプルな部屋だった。
「どうしたんだ…」
窓から見えるボスボラス海峡を背後に、頭を抱え椅子から立ち上がり、怒鳴って入ってきた佐官に聞いた。
薄汚れた野戦服の襟には佐官の階級章が一際目立っていた。
「どうしたもこうしたもない!!」
薄汚い野戦服を着た中佐は、木製の大きな机を叩いた。
「…はやり、耳に入ったか…」
将官は半ば諦めた表情で、再びゆっくりと椅子に腰掛けた。
「なぜ、我々はズゴックを出さないんだ!?」
中佐は壁に貼りだしてある、ヨーロッパの地図で地中海を指さしながら、地中海に何故部隊を派遣しないかを問いただした。
「これ以上、MSは出せない…」
中佐から目をそらしながら、准将は地中海には部隊を派遣しないことを伝えた。
「敵のヒマラヤ級を一隻沈めたんだぞ!?まだまだ、送れば戦果は拡大可能で…ここの防衛も楽に…」
「楽に放棄できるとでも言いたいのか!?…考えてみろ!!奴等がズゴックを3機にアッガイを6機も送って、たったヒマラヤ級を一隻とアルバータ級とモンブラン級を五隻だぞ!!…頭を冷やせ!!…海中ではミノフスキー粒子の恩恵を受けられない!!…あれだけの大艦隊を壊滅するには、多くのMSと艦艇が必要だ、それが出来ないから我々は敵を海峡におびき寄せて殲滅すると司令と決めただろ!?」
准将は机から立ち上がり、中佐を睨みながら声を荒げて改めて自分たちが置かれた厳しい状況を説明し無駄に戦力を裂くことをしないと明言した。
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