欧州方面異常アリ

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「…貴方がいくら父上の親友と言えどここは軍隊です…お分かりですか…ハインツ・ミュラー中佐殿…」 イェンス・コンミウス准将が自分の襟についている階級章を右人差し指で叩きながら、兵士の手前節度を守るように静かに冷めた口調で忠告する。 「…もっ…申し訳ありません!」 ハインツ・ミュラー中佐は、机から一歩下がり垂直姿勢で硬直化し敬礼で無礼をお詫びした。 ハインツ・ミュラー中佐は、イェンス・コンミウス准将の父親とは、古くからの友人もであり、宇宙世紀0058年に当時29才であった二人はジオン公国軍の前身でもあるジオン国防隊の設立にも尽力した仲でもあった。 「改めて言う…我々は、奴等と同調する必要は無い!」 イェンス・コンミウス准将は、後ろで手を組んで胸を張り、威厳を保つようにハインツミュラー中佐にオデッサ防衛部隊と同調して無駄に戦力を割くことは無いと伝えた。 「…下がって良し!」 イェンス・コンミウス准将は、椅子に座り書類に再び目を通しながらハインツ・ミュラー中佐に出ていくように指示を出す。 ハインツ・ミュラー中佐は、書類に目を通すイェンス・コンミウス准将に頭を下げて部屋を後にし、イェンス・コンミウス准将は、父親のような背中を見せるハインツ・ミュラー中佐の背中を上目で見た。 ハインツ・ミュラー中佐は、司令部の置かれた建物から出てきて停めてあるジープの助手席にドカッと座り足を組んだ。 「…駄目でしたか…」 運転席に座って居た、若い整備兵がハインツ・ミュラー中佐の態度と表情を読み取り、車を出した。 「…分かるが…コレでは、先が思いやられる…」 ハインツ・ミュラー中佐は、流れる街並みを見ながらイェンス・コンミウス准将の言いたい事も理解したが友軍同士がいがみ合っている仲に呆れた。 「…そう言えば、中佐のB3の改修が終了したそうですよ!」 若い整備兵は、恐い表情を浮かべ険悪な雰囲気を打開するために、中佐の乗機でもあるMS-07B3グフ・カスタムの改修整備が完了したことを伝える。 「そうか…ドコが悪かったんだ?」 若い整備兵の努力とは裏腹に、ハインツ・ミュラー中佐は、戦禍色濃く残る街並みを見ながら相変わらず無表情で聞く。
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