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「リミッター解除による影響で…ジェネレーター出力が安定していない様です…」
若い整備兵は、ハインツ・ミュラー中佐の乗機の不具合の内容を伝えた。
「リミッター解除か…」
「はい、再びリミッターを設けたそうです…ただ、リミッターは何時でも解除出来る様にはしたそうですので…」
ハインツ・ミュラー中佐は、巧妙にビルに擬装され鉄筋で組み立てられているMS格納庫群を見ながら聞いる。
各MS格納庫には、立ったままのMS-06F2後期量産型ザクⅡが格納されていた。
全てのMS-06F2ザクⅡは、通常の緑色では無かったがかと言ってパーソナルカラーでも無く、都市部によく見られる色である灰色と黒色を織り混ぜた直線的な迷彩色(スプリッター迷彩)に塗装されている。
「…また増えたな…」
ハインツミュラー中佐は、先日よりMSが増えていることに気が付いた。
「…はい、オデッサから送られてきました!」
若い整備兵は、若さゆえに無邪気な表情で嬉しそうに新たに配備されてくるMSを歓迎した。
「…オデッサでの最終生産分か…」
ハインツ・ミュラー中佐は、シンナーの臭いで真新しい機体と直ぐに分かった。
オデッサでのザクⅡの生産ラインは量産化されたグフへ本格的に変更される事になったために、最終生産分がここイスタンブールを防衛する欧州方面軍第4師団へ送られたのである。
要は、新古品を宇宙攻撃軍・欧州方面軍へ配備し新型のグフやドムを突撃機動軍所属マ・クベ小佐が指揮するオデッサ防衛部隊に優先配備していたのである。
「…ここでも…」
欧州方面の生産ラインを握っている突撃機動軍が宇宙攻撃軍・地球方面軍を目の敵にしている現実に嫌気をさした。
「着きましたよ!」
ジープは、グフ・カスタムが格納されている格納庫前で停車した。
グフ・カスタムも他のMSと例外無く、塗装が違っていた。
違っていたのは、青色主体で黒色と白色を織り混ぜた直線的な迷彩色(スプリッター迷彩色)に塗装されていた事である。
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