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「ちょっとママ!何なのアイツ。ホントにあんな奴と暮らすの?」
私はあれから猛ダッシュで自分の部屋に戻ると、慌てて母親の携帯に連絡を取っていた。
『あぁ!竜くん今日着いたのねぇ。新学期に間に合って良かったぁ』
「…………」
………母さんよ。娘のこの緊迫した空気を頼むから察しておくれ。
私は心の中で呟いた。
「いや、だからぁ。あんな俺様な人間と生活なんて、このさき出来ないよぉ。これなら私1人の方がよっぽどマシ……」
と、言いかけたところで私の目が一瞬にして一点に集中する。
だって、そこには……
ドアにもたれ掛かって私のことを睨みつけている
…………奴の姿があったから。
「ちょっと、勝手に部屋入ってこないでよ!」
私の言葉に全く耳も貸さず奴はズカズカと私の元へ歩み寄ると
乱暴に携帯を取り上げた。
そして
「あ、おばさんご無沙汰です。杏は少し照れてるみたいだけど……大丈夫なんで。はい、じゃあまた」
それだけ言うとさっさと電源を切ってしまった。
「・・・・・・・・」
そのあまりに自己チューな行動に私は呆れて、しばし怒ることすら忘れていた。
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